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ラッキンなど米上場の中国企業、会計不正相次ぐ IPOの中国回帰加速も(Asiaウオッチ)

NQN香港=柘植康文、林千夏

米国に上場する中国企業で会計不正が相次いで明らかになった。4月に入ってカフェチェーンの瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)に続き、オンライン教育の好未来教育集団(TAL)も架空取引で売り上げを水増ししていたと発表した。空売り業者からは他の中国企業の会計を疑問視する声もあがる。トランプ米政権や投資家から中国企業への視線は一段と厳しくなると見込まれ、今後のユニコーン企業の上場にも影響を及ぼしそうだ。

■ラッキンコーヒー株は8割下落、中国証監会「強く非難する」

ラッキンは2日、2019年4~12月期の売上高に架空取引などの不正を確認したと発表した。22億元(約330億円)にのぼる収入を水増ししており、費用も改ざんしていた。米ナスダックに上場する株価は公表後に8割下落し、売買停止となっている。同社は開業から2年で中国全土の店舗網を約4500店に広げ、米スターバックスと競合する急成長企業として注目されてきた。株価は19年5月上場時の公開価格の17ドルを大きく上回り、1月には50ドル台を付けていた。

ラッキンは1月末に米空売り投資会社のマディー・ウォーターズから注文数や平均単価などの経営指標を過大に見せかけていると攻撃されていた。会社側は当時は主張を否定していたが、監査法人からも指摘を受けて不正の公表に動かざるを得なくなったようだ。今回の問題には劉剣最高執行責任者など複数の社員が関与しており、法的措置も検討していくという。

中国証券監督管理委員会(証監会)はラッキンによる会計不正を「強く非難する」との声明を出した。「上場市場に関わらず、法律を順守すべきだ」とし、「証券市場での詐欺行為を徹底して取り締まり、投資家の利益を保護する」と強調した。中国は3月に新しい証券法を施行し、海外上場の中国企業も適用対象に加わった。証監会が個別企業の違法行為に言及するのは異例で、米国の投資家の間でも著名なラッキンによる会計問題への危機感の表れと言えそうだ。

■教育の好未来や動画の愛奇芸にも疑義

会計問題はラッキンだけにとどまらない。ネット教育大手の好未来は7日に「社員が取引先と共謀して契約書を偽造し、売上高を膨らませていた」と公表した。会社側によると、問題の社員が担当していたライトクラスと呼ばれる小学生向けコースは売上高全体の3~4%を占める。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する好未来も時価総額が300億米ドル(約3兆2300億円)を上回る中国の有力なベンチャー企業だ。株価は不正発表後の8日、一時10%下落した。

同じく7日にはネット大手の百度(バイドゥ)傘下で動画配信大手の愛奇芸(iQIYI)について、米投資会社のウルフパック・リサーチが「売上高や利用者数を大幅に過大計上している」と主張した。同社はウルフパックの主張について「多くの誤りがある」として、否定した。ただ今回の調査にはラッキンの不正をいち早く指摘したマディーが協力したとされる。

香港の華晋証券資産管理の馮宏遠・最高投資責任者は「ラッキンなど値引きによる事業拡大を売りにした中国企業はビジネスモデル自体にも問題がある」と話す。「相場が好調な際には投資家は高成長にしか注目せず、悪い材料は見て見ぬふりをしていた」と指摘する。

■企業に内部監査促す可能性 上場先を香港に変更する動きも

光大新鴻基の温傑ストラテジストは「ラッキンの問題は米国に上場する中国企業に警鐘を鳴らした」とし、「好未来のように内部監査を実施し、問題が大きくならないうちに公表する企業が今後も出てくる可能性がある」との見方を示す。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは13日、「少なくとも2つの企業が主幹事証券と新規株式公開(IPO)の市場を米国から香港に変更する議論をしている」と伝えた。ただでさえ新型コロナウイルスの影響で相場が乱高下するなか、中国企業の会計への不信感が投資家の慎重姿勢を増幅させている。トランプ政権下での米中摩擦を背景に、米議会で米国に上場する中国企業の監督強化を求める法案が提出されるなどの圧力も強まっていた。

香港市場には電子商取引のアリババ集団(@9988/HK)が19年11月にニューヨーク証券取引所に次いで重複上場した。上場前の時期には香港で反政府デモが激化していたが、米国から中国への圧力の高まりに備えて資金調達に踏み切った。20年に入って百度やネット大手の網易(ネットイース)、旅行予約大手の携程旅行網(トリップドットコム)といった他の米上場の中国企業も香港に上場するとの観測も出ていた。普通株と議決権の異なる種類株を発行する企業の上場容認などの規制緩和もあり、香港上場の機運は強まりつつある。

光大新鴻基の温氏は「ラッキン事件は『中国には不正をする会社が多い』という印象を深めてしまった。これから米国に上場する中国企業への影響は避けられないだろう」と語る。市場では「中国政府も国内企業の米国上場を望んでおらず、企業が上場先を中国本土や香港に切り替えるなどして米上場は確実に減っていくだろう」(華晋証券資産管理の馮氏)との声が増えている。

 

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著者名

NQN香港 柘植 康文


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