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無関心な米国人もドル安話題に 「上昇から急激にUターン」

米国人は為替相場を気にしない。欧州連合(EU)の本部があるベルギーのブリュッセル、ロシアのモスクワに駐在した際は、日本人と同様に為替レートへの企業や市民の関心が高いと強く感じた。話題になることが多かった。ニューヨークの駐在では違った。株式相場に関心が高いものの、通貨には無関心と気づかされることが何度もあった。ウォール街で働く友人は基軸通貨の国だからだと説明した。

国際通貨基金(IMF)は7月20日付けのブログで、世界の経済取引でドルが独占的に使用されていると指摘。大手コンサルティング会社は世界の主要都市の物価をドル建てで比較する。日本人以外の投資家は日経平均株価をドル換算でみている。日本人は株価が下がったと思っても、ドル安・円高が進んでいれば外国人投資家にとって株高にみえることもある。

SMBCニューヨークのチーフ・マーケット・エコノミストの森谷亨氏は、7月17日付けのレポートで、「法外な特権」を持つドルに3度目の修正が入る可能性があるとコメントした。1973年から利用可能な米連邦準備理事会(FRB)の貿易加重ドル・レート指数では、1980年代前半と1990年代後半に2つの大きなドル高の山があったと指摘。現在は2011年を底に始まった3度目のドル高局面だとした上で、ユーロ圏の復興基金の行方がドル高長期化の大きなテーマになると述べた。

EUは7月21日の首脳会議で、新型コロナウイルスの打撃を受ける国々を支援する7500億ユーロの復興基金創設で合意した。難航したが、EUの結束を示す結果になった。合意を受け外国為替市場でユーロ買い・ドル売りが加速した。

主要な6つの通貨に対するドルの強さを示すインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数はチャートと心理的な節目とされた95を7月22日に割った。それ以降、ドルが幅広い通貨に対して売られる傾向が強まった。こう着相場が続いていたドルの対円相場がレンジを抜けてドル安・円高に動いた。2011年から続くドル高局面が転換した可能性がある。

最近は通貨に無関心だった米国でドル安が話題になることが増えた。ウォール街のアナリストのメモにドルの動向が頻繁に登場。主に株式市場の動きを伝えるCNBCが連日、ドル安を伝えている。米ウォール・ストリート・ジャーナルは2日、株式相場が大幅に上昇する一方で、ドルが大幅下落していると報じた。長期間に渡る上昇から急激にUターンしたとしている。ただ、ドルの基軸通貨としての地位を失うとの見方は少ないと加えた。

米大統領選を11月に控えトランプ大統領が選挙を延期する可能性に言及し、ドルに政治リスクがあることが露呈した。パンデミック(疾病の大流行)が収束する兆しはない。追加支援をめぐる米議会の与野党協議は予断を許さない。格付け会社フィッチは7月31日、米国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたと発表。米連邦準備理事会(FRB)はゼロに近い政策金利を長期に渡り維持する方向だ。金利面でもドルの優位性はもうない。

 

(このコラムは原則、毎週1回配信します)

Market Editors 松島 新(まつしま あらた)福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て2011年からマーケット・エディターズの編集長として米国ロサンゼルスを拠点に情報を発信

著者名

Market Editors 松島 新


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