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信用取引の基本をおさらい 担保や金利が必要?貸株料、品貸料、逆日歩の違いは?

【QUICK Money World 辰巳 華世】株式投資の基本は、安く買って高く売ることで利益を得ることです。しかし、相場が下落している場面では、このやり方だけだと思うような利益を得られません。相場の下落局面でも利益を得られる可能性がある売買手法に「信用取引」があります。通常の株式取引にはない「売り」からの取引ができたり、元手よりも大きな金額の株式を買えたりと、特徴ある信用取引について、仕組みや取引方法、注意点まで徹底解説します。

■信用取引とは

信用取引とは証券会社に一定の保証金や証券を担保として支払うことで、資金や株式を借りて取引を行う投資のことです。預けた担保の評価額の約3.3倍の取引ができます。例えば約100万円の資金で約330万円の取引が可能になります。担保として預けたお金を「委託保証金」、預けた証券を「代用有価証券」と呼びます。

投資家は信用取引によって、手持ちの資金よりも多い金額で投資をすることができるので、株式投資の幅が広がります。株式市場にとっては、信用取引を導入することで、市場参加者を増やし、売買高の増加を通じて、市場における公正な価格を形成することができます。

一般的に通常の株式取引のことを「現物取引」と呼びます。一方、一定の審査を経て証券会社から「信用」を得ることでお金や証券を借りて株式を売買することを「信用取引」と呼びます。現物取引では、株式を買うことから始まり、その株式を売ることで利益を得ます。信用取引は、お金を借りて株式を買う「信用買い」に加え、株式を借りてその株式を売りに出す「信用売り」の2つの取引があります。「売り」から取引を始められることは信用取引の特徴の一つです。

信用取引では、返済が信用期限として決まっており、決められた期日までに借りたお金や株式を返却する必要があります。ちなみに制度信用取引では返済期限が6カ月となっています。

■信用取引の手続き方法――経験年数など審査が必要

信用取引を行うには、証券会社で株式取引をする口座を開設したうえ、信用取引口座の開設が必要になります。信用取引は、証券会社からお金や証券を借りることになるので、一定の審査が必要になります。審査を通過すると信用取引の口座が開設され取引が可能になります。

信用取引は、預けた担保の評価額の3.3倍の取引が可能になるので、利益が出たときも通常の取引より大きくなりますが、損失も同様に大きくなりハイリスク・ハイリターンの取引です。なので、証券会社によっては、投資経験が1年以上あることなど信用取引口座開設の要件を設けていることがあります。また、インターネットの利用環境が必須としている証券会社もあります。

■信用取引の売買の流れ――「金利」が必要

信用取引は、お金を借りて株式を買う「信用買い」(買建)に加え、株式を借りてその株式を売りに出す「信用売り」(売建)の2つの取引があります。2つの取引の流れをみていきましょう。

「買建」

「信用買い」は、現物取引の様に、値上がりすると思う銘柄を安く買って高く売り、売った差額が利益になります。現物取引との違いは、手持ちの資金より大きな金額で取引ができる点です。差し入れた保証金の評価額の約3.3倍の買い付け資金を証券会社から借りて株式を購入できます。信用取引で資金を借りて買建てた株式を「買建玉」と言います。

信用取引では、通常の売買手数料の他にも費用が発生します。証券会社から資金を借りて株式を購入するので、借りた資金に金利がかかります。現物取引の場合は、購入した後、長期間保有しても手数料などはかかりませんが、信用取引の場合は、株式を保有している間は金利など手数料が発生するので注意が必要です。返済方法は、買建てた株式を売却し決済する「反対売買」と、株式の代金を支払い現物で引き取る「現引き」の2つがあります。

「売建」

「信用売り」は、現物取引にはない信用取引の特徴の一つです。株式を借りてきて売るため、株式を保有していなくても売りから入ることができます。相場の下落局面でも利益を確保できる可能性がある売買方法になります。値下がりすると思う銘柄を売り、下がったところで安く買い戻し、その差額が利益となります。株を借りて売建てた株を「売建玉」と言います。

「信用買い」同様に「信用売り」にも手数料がかかります。通常の売買手数料に加え、株式を借りてきて売るので株式を借りる「貸株料(かしかぶりょう)」がまず必要となります。また、信用売りが活発になった場合、証券会社が保有する貸出可能な株式が不足することがあります。この時、証券会社は外部から足りなくなった株式を調達する必要があり、この調達費用を投資家が負担する必要があります。この追加の手数料を「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と呼びます。逆日歩は「品貸料(しながしりょう)」とも言います。この「逆日歩」は「制度信用取引」という種類の信用取引でのみ発生するもので、それ以外の「一般信用取引」ではかかりません(この二つの違いについては後ほど説明します)。返済方法は、売建てた株式を買い戻し決済する「反対売買」か、売建てた同じ銘柄の株式を証券会社に引き渡す「現渡し」の2つがあります。

なお、個人投資家が保有する現物株式を信用売り用に証券会社に貸し出して、銘柄に応じた貸株料(貸株金利)を受取れるサービスを提供する証券会社もあります。

■信用取引のリスクについて

信用取引は手持ちの資金より大きな額の取引ができ、いわゆるレバレッジ(テコの作用)をきかせることができます。そのため、損益が現物取引より大きくなり、ハイリスク・ハイリターンの取引といえます。

特に注意が必要なことに、信用取引には追加担保の差し入れ義務(追い証)があります。これは、相場が下落した時に、証券会社ごとに定められている最低の委託保証金維持率を割り込むことで、追加の保証金を差し入れる義務が発生することです。

<委託保証金維持率の計算方法>
(委託保証金ー建玉評価損)÷建玉総額×100=委託保証金維持率

 

相場が急落したり、下落基調が続いた場合は、連日、追い証が発生することもあり得ます。追い証の差し入れ期限は、割り込み率によっても異なりますが翌日や翌々日と短いこともあり注意が必要です。期限までに追い証の差し入れができない場合は、証券会社ごとのルールにより代用有価証券の売却や全建玉の反対売買が強制的に行われます。それでも、不足金がある場合は入金の必要があります。2020年3月の新型コロナウィルスの感染拡大による相場急落など相場はいつ大きく変調するか分かりません。信用取引をする場合は、取引状況をリアルタイムで把握し、損益の動向を追うことが大切になります。

追い証の他に信用取引では、金利や貸株料などがかかることを忘れてはいけません。証券会社から借りたお金に対する金利や借りて売った株式に対する貸株料がかかります。現物取引の場合は、長期保有することで手数料は発生しませんが、信用取引は、保有する期間だけ金利や貸株料がかかるので注意が必要です。この他、制度信用取引による「信用売り」をした場合、状況によっては逆日歩を支払う必要がある場合があることも意識しておきましょう。

■制度信用取引と一般信用取引の違い

「信用取引」には制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。

制度信用取引とは、東京証券取引所のような金融商品取引所等の規定によって、返済期限や売買する銘柄、権利処理が決められている取引です。返済期限は原則6カ月となっています。また、制度信用取引で支払う場合がある品貸料(逆日歩)も、取引所が公表します。ちなみに、制度信用取引で売建が可能な銘柄を「貸借銘柄」と呼びます。

一般信用取引とは、証券会社と投資家の間で返済期限や金利、貸株料などを独自に定められる取引です。返済期限は証券会社によって異なりますが、3年など制度信用取引の6カ月に比べると長めに設定されています。また、一般信用取引では逆日歩は発生しません。

どちらの制度でも金利や貸株料はかかりますが、一般的には制度信用取引の金利の方が、一般信用取引より低いです。売買したい銘柄や、かかる金利など手数料、どれくらいの期間で取引を考えているかなどを考慮したうえで自分の投資に適した制度を利用するようにしましょう。

  制度信用取引 一般信用取引
対象銘柄 取引所が選定 原則全上場銘柄
返済期限 最長6か月 顧客と証券会社との間で決定
品貸料 取引所が発表 顧客と証券会社との間で決定
権利処理 取引所が定める方法 顧客と証券会社との間で決定

■まとめ

信用取引は、レバレッジをきかせた取引ができる投資方法です。現物取引にはない「売り」から入ることで利益を得られる可能性があるのも特徴です。手持ち資金以上の取引ができるので株式投資の幅が広がります。大きな利益をだす可能性もありますが、逆に損失も大きくなることがあるのでその点は注意が必要です。また、相場が急落した際は、追い証が発生することも意識しましょう。信用取引をする際は、自分の中で取引ルールを決めたうえでするよう心がけましょう。

著者名

QUICK Money World 辰巳 華世


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