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「ソフトバンク」の株式と社債、買うならどちら?違いを調べてみた!【点検・資産配分】

【QUICK Money World 辰巳 華世】ソフトバンクグループ(SBG、9984)が募集している4050億円の個人投資家向け劣後債(第5回、申込期間は6月18日に終了)が注目を集めました。携帯電話事業を営む子会社ソフトバンクの知名度に加え、年2.750%(当初5年)の高利率が魅力と興味を持つ個人投資家が多いようです。調べてみると5年物の定期預金の利率は高くても年0.4%程度なので、確かに、銀行預金に資金を寝かしておくよりは良い条件と言えそうです。しかし、家計の資産運用という視点で考えた時、利率2.75%は果たして破格の良い条件なのでしょうか?仕組みをよく理解したいので調べてみました。

ソフトバンク劣後債の発行条件

SBGが今回発行する劣後債は返済順位が低く、格付け会社が調達額の一部を資本として認める劣後特約付きのハイブリッド社債です。利率は当初5年は2.750%、利率は6年目以降が1年国債金利プラス3.100%、21年目以降は同3.150%、26年目以降は同3.850%と、徐々に上がる約35年債です。ただ、6年目以降の期限前償還条項が付いていて、発行体側(SBG)の判断で償還することができるので、実質的に5年債と見る投資家が多いようです。

なお、2月にプロ向けに発行したほぼ同条件の劣後債(最低投資金額1億円)の利率は年3%(当初5年)であり、今回の個人投資家向けよりも利率が高く設定されています。

そもそも劣後債って何?

今回のSBG債は同じ様な5年物の普通社債に比べても利率が高いです。16日に発行条件を決めたマクロミルの5年物普通社債(格付けはR&I・BBB+)の利率は0.56%でした。SBG債(格付けはJCR・BBB)の利率2.75%が相対的に高い理由は、劣後債だからです。例えば、その会社の経営が悪化したり、倒産したり、社債の返済ができなくなったとします。そうすると、その社債はデフォルト(債務不履行)となります。そうなった場合、劣後債は普通社債よりも返済順位が劣後します。劣後債は普通社債に比べリスクが高い分、利率も高くなっている仕組みです。

経営破綻時に残った財産の弁済順位は一般的に、普通社債>劣後社債>株式、となっています。

利率2.75%は魅力的なのか?

確かに、5年物の定期預金や同じ年限の普通社債に比べると利率2.75%は良さそうです。しかし、家計の資産運用を考えた時、利率2.75%に負けない条件の金融商品は他にないのでしょうか。発行体が債務不履行に陥らない限りは元本が返ってくる社債と、投資元本が変動する株式の利回りを直接比較することはできませんが、株式市場に目を向けてみると、実は配当利回り3%を上回る銘柄がごろごろとあります。

配当利回りとは何か?

ここで配当利回りについて簡単に説明しておきます。配当利回りとは、購入した株価に対して一年間でどれだけの配当を受け取ることができるかを示したものです。一般的に業績が良い企業は1年に1回、もしくは年2回、株主に対して配当を出します。

<配当利回りの計算式>

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価格×100

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実は利回り3%以上の銘柄はごろごろとある

最近の株式市場に目を向けてみると配当利回りが3%を上回る銘柄はごろごろとあるのが実情です。日経平均採用銘柄、配当利回り3%以上で検索してみると、18日終値の日経予想ベース配当利回り1位はなんと、SBGの携帯通信子会社であるソフトバンク(9434)です。2位はJT(2914)5.89%、3位は大和証券グループ(8601)5.73%でした。

<日経平均採用銘柄の予想配当利回りランキング(6/18時点)>

順位 コード 社名 配当利回り
1 9434 ソフトバンク 6.09%
2 2914 JT 5.89%
3 8601 大和証G 5.73%
4 6178 日本郵政 5.53%
5 8304 あおぞら 5.19%
6 8316 三井住友 5.18%
7 8630 SOMPOHD  5.12%
8 8725 MS&AD    4.98%
9 8628 松井証   4.94%
10 8604 野村HD 4.89%

ソフトバンク株とソフトバンク劣後債を比べてみる

ソフトバンクの18日終値の日経予想ベース配当利回りは6.09%でした。ソフトバンクの配当利回りが高いのは、このところのソフトバンク株の軟調さも影響しています。配当利回りは、分母が株価なので株価が下がると相対的に利回りが高くなります。万が一の話ですが、ソフトバンクの経営が破綻した場合を考えると、株式はただの紙切れとなる可能性が高いです。一方の、劣後債も返済優先順位が低いので、経営破綻時に資金回収できないリスクは高いと言えます。

仮に、同じリスクであると考えると18日終値ベースでのソフトバンク株1単位の投資金額は14万1000円で、配当利回り6.09%と、親会社SBGの劣後債の利率2.75%より魅力的にうつります。

ただ、社債と株式は違います。前述したとおり、社債は何事もなく償還を迎えれば元本が保証されていますが、株価は価格下落リスクがあります。14万1000円で買ったソフトバンク株が更に値下がることもあります。反対に株価が上昇すれば値上がり益も期待できます。

また、社債の利払いは半年に一回ありますが、配当は保証されたものではありません。業績が悪化すれば減配や無配となるリスクもあり、そうなれば今の配当利回りは維持することが難しいです。

社債 株式
投資元本 償還時に元本保証(経営破綻しなければ) 市場での価格変動あり
利回り 利息:半年に一回(経営破綻しなければ)※ 配当:業績によって変化あり

※今回発行されたSBG債には、発行体が利息支払いを繰り延べることができる利払繰延条項がついている。

もう一つ高利回り銘柄として注目のREIT

利回りという点では、もう一つ、比較的高い利回りを確保できる金融商品として、不動産投資信託(REIT)も紹介しておきます。REITとは、不動産投資法人が投資家からお金を集め、マンションやオフィスビル、商業施設やホテルや物流倉庫など多様な不動産に投資をし、投資先物件からでる賃貸収入や売買による利益を投資家に分配する金融商品です。上場している個別株式と同じ様に売買ができます。

不動産投資法人は利益の9割を分配することで法人税が免除されるので、収益に占める配当金の割合が高いのが特徴です。全上場REITの18日終値ベースの分配金利回り(QUICK算出)の単純平均は3.52%とソフトバンクの劣後債の利率2.75%より高いです。REITの中で、18日終値ベースで一番高い利回りはマリモ・リート(3470)の5.24%でした。

ただ、REITも株式と同じように価格変動リスクがあります。また、分配金は必ずしも保証されたものではありません。不動産の賃貸市場や売買市場、金利状況、経済情勢などの影響を受けて物件の賃料収入が減ったり、物件価格が下がったりすることで、REITの価格や分配金が変動することがあります。投資先の不動産が地震や火災などで被災した場合も価値が下がる可能性があります。上場基準に抵触し上場廃止や投資法人が倒産するリスクもあります。

利率2.75%に着目して分かったこと

ソフトバンクの劣後債の利率2.75%に着目すると、意外と他にもニーズを満たす金融商品があることが分かります。できるだけ元本保証をしたい、価格変動リスクをあまり取りたくない人は劣後債に、価格リスクを取り、あわよくば値上がり益も狙いつつ高配当利回りも狙うなら株式やREIT。家計の資産運用を考えた時、それぞれの商品のメリット・デメリットを考えて自分にあった商品を選択することが大切なのかもしれません。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世


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